今月の臨床 妊娠と血液
editorial
寺尾 俊彦
pp.549
発行日 1995年5月10日
Published Date 1995/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902109
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血を見ないお産はあり得ない.子宮は人体臓器の中で唯一,生理的に出血し,止血する臓器であり,月経も分娩時の出血も生理的なはずであるが,突然に,しかもしばしば病的なものとなる.こここそは我々産科医が活躍する場であり,specialistとしてのidentityを置く場所である.
血液学の進歩は著しい.血管の中を流れる血液の研究から始まった血液学は血液と血管内皮との関係へ,さらに血管外マトリックスとの関係にと進み,また血液自身も造血,血球,血小板,血漿蛋白,免疫物質はもちろんのこと,全身の各種細胞が産生放出する物質や反応生成物などの同定検出へと進んでいるので,血液に関する研究は著しくその幅を拡げた.現在世界の医学研究者の中で血液を研究している学者が最も多いと言われている.したがってその進歩は爆発的とも言える.ますます細分化して,より専門的な知識を必要としているが,同時に多方面の進歩をintegrateすることも必要となっている.
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