今月の臨床 婦人科医のためのオステオポローシス
定義・疫学
1.骨粗鬆症の定義と種類—女性を中心に
奥村 秀雄
1
1愛媛大学医学部整形外科
pp.1070-1072
発行日 1994年9月10日
Published Date 1994/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901866
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骨粗鬆症(osteoporosis)は,骨の質的変化をきたさずに量的減少をきたす疾患と定義されている.臨床的には,非外傷性や軽微な外傷性の骨折を認める.骨折を伴わない骨量の減少をきたしたpreclinicalな状態を骨減少症(osteopenia)としている1,2).骨粗鬆症に伴う骨折としては,脊椎(圧迫)骨折,大腿骨頸部骨折,橈骨遠位部骨折,上腕骨近位部骨折などがある.骨量の頂値(peakbone mass)は30歳代にあり,加齢とともに減少する生理的骨量減少が認められる.骨量の頂値から−3SD(標準偏差)以下の骨量減少をきたすと骨折の頻度はきわめて高くなり,まだ骨折をしていなくても,骨折の危険性は非常に高い状態である.骨粗鬆症は何らかの原因によって生理的骨量減少が加速された病態と考えられる.骨量の減少をきたす疾患は骨粗鬆症以外にも,骨軟化症,線維性骨炎,腎性骨異栄養症,骨形成不全症,線維性骨異形成症などがあるが,これらの疾患では骨の質的変化を伴うことから狭義の骨粗鬆症には含まれない.また鑑別を必要とする疾患として,多発性骨髄腫,悪性腫瘍骨転移が挙げられる.
骨量の減少を正確に測定するために,近年,種々の骨塩量測定装置が開発された.
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