今月の臨床 婦人科外来検診マニュアル
E.腫瘍外来
25.腫瘍マーカー
関谷 宗英
1
1千葉大学医学部産婦人科
pp.454-456
発行日 1994年4月10日
Published Date 1994/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901687
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腫瘍マーカーは狭い意味で腫瘍細胞が産生,分泌する(糖)蛋白で,患者の血液,尿などから検出されるので,癌の補助診断として有用である.しかしながら,①胎児および付属物,健康人,良性疾患,他の癌でも検出されることがある(感度,特異度の問題).②同じ臓器,組織型の癌でも産生,分泌に違いがある(生物学的多様性の問題)など診断に際し限界もある.したがって,現在癌のスクリーニング,早期発見で満足できる腫瘍マーカーは皆無といってよい.
実地臨床では,①悪性,良性鑑別の補助診断 ②治療前陽性であれば,治療効果の判定(血中半減期に注意)と再発の診断に欠かせない検査であるので,それぞれの癌に対して最も感度,特異度の高い腫瘍マーカー(あるいは腫瘍マーカーの組み合わせ)を選択し,保険適用に準じて検査を行う.
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