今月の臨床 不妊症はどこまで治せるか
ARTの基礎
3.卵の質についての最近の理解
堤 治
1
1東京大学医学部産科婦人科
pp.140-141
発行日 1994年2月10日
Published Date 1994/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901599
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体外受精は不妊症治療の一手段として定着しつつあるが,その成績は採卵周期当たりで10%程度,卵あたりでは数%と十分とは言えない.また逆に多数個の卵が得られた場合,その選別が難しく妊娠例の30%近くが多胎となることも問題である.卵の形態学的基準は設けられているが,形態のみからそのqualityを決定,移植すべき胚を選別することは困難である.これら臨床上の課題の解決には卵の質を形態のみでなく機能という面から理解していく必要がある.またそれを発展させれば,着床前診断・着床前治療も夢ではなくなる.こういった観点から卵の質について最近の理解を述べたい.
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