今月の臨床 産科外来検診マニュアル
妊娠後期
35.頸管の成熟度
平川 舜
1
Shun Hirakawa
1
1東邦大学医学部第1産科婦人科
pp.561-563
発行日 1993年5月10日
Published Date 1993/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901290
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頸管成熟の産科的意義
頸管成熟度とは児の娩出が円滑に進行するための産道因子の準備状態を示すものである。妊娠の中期には硬く未熟な頸管も,妊娠の進行に伴って内分泌環境の変化によって頸管を構築する結合組織の組み換えが進み1),妊娠35週頃からBraxton—Hicks収縮の活発になる時期に一致して頸管の軟化が始まる2)。頸管の軟化を基盤として,前陣痛により頸管の展退と開大が徐々に進行し,妊娠38週以降に頻発する分娩陣痛の発来によって頸管の熟化は急加速される。初産婦では子宮壁の緊張が強いため産科的内子宮口が早期より開大し,児の下降と頸管の展退が先行するが,経産婦では緊張が弱く胎児の下降が遅れ,展退も直前まで進行しない。
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