今月の臨床 子宮外妊娠—up to date
特異な子宮外妊娠への対応
21.頸管妊娠
雨宮 章
1
,
萩庭 一元
1
Akira Amemiya
1
,
Ichigen Hagin
1
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院周期産期センター
pp.402-404
発行日 1993年4月10日
Published Date 1993/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901245
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頸管妊娠は,内子宮口を越え頸管粘膜に着床・発育する疾患で,着床異常としては,きわめてまれな疾患とされてきた。本症の記載は1860年Rokitanskyに始まり,本邦では九嶋の報告以来多くの報告がある1,2)。発生頻度は1,000〜16,000例の妊娠に1例といわれているが,近年増加傾向にあるといわれる3)。本疾患はその90%に人工妊娠中絶,流産,分娩などの妊娠分娩歴があり,とくに人工妊娠中絶術や流産後子宮内容清掃術などの子宮内操作を行ったものに頻度が高い。通常,妊娠10週前後までに中絶症状が顕著となり処置されるが,きわめてまれに本症は妊娠中期以降まで継続することがある。本邦における妊娠20週を越えて継続した頸管妊娠報告例は約20症例になる。経腟分娩8例,帝王切開8例,その他は不明であり,このうち児が生存し得たのは8例といわれている。本稿では著者らの経験した妊娠20週以降まで継続した2例の頸管妊娠症例を紹介し,併せてその診断の要点および治療について述べてみたい。
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