今月の臨床 卵巣がん—疫学から治療まで
分類
6.臨床進行期分類(FIGO)—新分類の改訂要点
落合 和徳
1
Kazunori Ochiai
1
1東京慈恵会医科大学産婦人科
pp.782-784
発行日 1992年7月10日
Published Date 1992/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900918
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卵巣がんに限らず,悪性腫瘍に関する進行期の決定は,腫瘍組織の進展を客観的に表現する手段であり,かつこれによって患者の予後推定がある程度可能である。多くの予後関連因子の中でも進行期が最も強い影響をもつことは周知のとおりである。したがってがん治療の個別化が叫ばれる現在,この進行期に基づく個別化が,他の諸因子とともに大変重要であることは多くの報告の示す通りである1)。
このように進行期の正しい診断は,悪性腫瘍の臨床の上での基盤となるものであり,臨床医の必須知識の一つと考えられる。すでに卵巣がんの進行期別分類については1988年日本産科婦人科学会卵巣腫瘍登録委員会からの提案として新しいFIGO stageが示されているが2),本年4月,卵巣腫瘍取扱い規約第2部が刊行され3),その中に進行期に関する取り決めが示されている。本稿ではそれに若干の解説を加え,主な改訂点について述べることにする。また従来臨床進行期という用語が用いられてきたが,surgical staging(外科的検索による進行期決定)が基本となっているため,卵巣腫瘍取扱い規約においても進行期という語を用いており,本稿でも同様に取り扱うこととした。
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