今月の臨床 妊娠と免疫
妊娠維持と免疫
12.遮断抗体
見常 多喜子
1
Takiko Kenjo
1
1東海大学医学部産婦人科学教室
pp.176-177
発行日 1992年2月10日
Published Date 1992/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900737
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母体は明らかな抗原性をもつ胎児,あるいは絨毛細胞に対して移植の場合と同様に拒絶と生着という二つの免疫機構を作動させていると思われるが,妊娠においては生着を促進する充分な免疫機構が成立し,生着優位の立場をとっている。最近では,この特異的な妊娠維持機構には表11)に示すように,従来から重視されていた全身的あるいは局所的免疫抑制と遮断抗体産生による免疫促進の他にサイトカインネットワークによる免疫刺激が妊娠維持に欠かせない現象と考えられるようになってきた。ここでは妊娠維持に果たす母体血清中の免疫抑制因子の一つである遮断抗体(bloc—king antibodies)について述べる。
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