今月の臨床 産婦人科内科—治療のポイント
思春期
2.アトピー性皮膚炎—特に思春期以降の成人型アトピー性皮膚炎
池澤 善郎
1
Zenro Ikezawa
1
1横浜市立大学医学部皮膚科
pp.1026-1031
発行日 1991年9月10日
Published Date 1991/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900537
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アトピー性皮膚炎(AD)は,家族的・遺伝的過敏性体質(別名アトピー体質)があるものに発症する痒みの強い湿疹性皮膚疾患で,その多くは乳幼児期から発症して成長と共に軽快傾向を示すとされている。しかしながら,最近,皮膚科外来では頻回に再燃を繰り返し各種治療に抵抗する難治性のADが増加している。このような難治例は乳幼児期や学童期にもしばしば見られるが,思春期以降の成人型ADにおいて特に多い傾向がある(図1参照)。恐らく,こうした傾向と関係して,思春期以降もなかなか軽快しない症例や思春期以降に始めて発症ないし増悪する症例が増えているものと思われる。ADの病因・病態には不明な点が多いが,アトピー体質があるものに食物アレルギーや環境物(例,ダニ,カビ,金属など)アレルギーが生じて本症が発症し,これにしばしば細菌感染や心因性反応なども加わるとされている。食物アレルギーに関しては専門家の間でも今日なお意見の違いがある。筆者らは,臨床統計ならびに食事療法の効果などから,乳幼児ADだけでなく思春期以降の成人型ADにおいても特に重症例には食物アレルギーが重要な役割を果たしていると考えている1,2)。本稿では,この難治性の成人型ADに焦点をあて,ADの皮膚症状,検査所見,発症・重症化の機序,治療などについて解説する。
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