臨床医からの質問に答える
嫌気培養を依頼するときの注意点を教えてください.
三澤 慶樹
1
1東京大学医学部附属病院感染制御部
pp.1370-1372
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208858
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はじめに
いきなりで申し訳ないが,嫌気培養にはお金がかかる.例えば,嫌気性菌全般の分離・培養に適し,常用されるヘミン・ビタミンK加ウサギ血液寒天培地は1枚450円する.一般的な細菌培養に用いられるヒツジ血液寒天培地が1枚250円程度なのでかなり高価な培地といえる.加えて嫌気性菌は通性嫌気性菌と混在していることが多く,選択的に分離するための嫌気性菌選択分離培地を使うことがあるが,これも1枚400〜500円する.酸素を排除した嫌気条件の環境を整えなければ嫌気培養はできないし,複数菌が混在しているなかから単一菌種を分離する際にもさらに培地が必要となる.そう,嫌気培養は本当にお金がかかるのだ.
それにもかかわらず,嫌気性培養加算として割り当てられている保険点数は122点(1,220円)でしかない.嫌気性菌検査はすればするほど赤字が膨らむ検査なのである.
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