検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
嫌気培養法の原理
小栗 豊子
1
1順天堂大学病院中検
pp.537-541
発行日 1980年7月1日
Published Date 1980/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202087
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嫌気培養法は現在,日常細菌検査には不可欠とされている.その理由は本菌による感染症は人体の各部位にわたって認められ,特に腹腔内感染,婦人性器・付属器の感染,肺化膿症などでは嫌気性菌の関与する頻度が高い.
臨床材料を用いた嫌気培養法はかなり古くから検討されてきた.嫌気培養が始められた当初は酸素を除去した環境をいかに容易に作るかに注意が払われていたようである.その後,この条件を満足することのほかに,5〜10%の炭酸ガスの存在が必要であることが判明した.特に無芽胞嫌気性菌では炭酸ガスの存在が必要であると言われている.このような嫌気環境を作ることは現在では,培養するときだけでなく,検査材料を採取した時点で,容器内が嫌気状態に保たれている特別の採取容器(嫌気ポータなど)を用いることが推奨されている.ここでは今まで用いられてきた嫌気培養の種類とその原理を述べ,また欠点についても触れてみたい.
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