今月の臨床 外来でみる感染症
症候と感染症
9.不正出血
長田 尚夫
1
Hisao Osada
1
1日本大学医学部産婦人科教室
pp.918-919
発行日 1991年8月10日
Published Date 1991/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900510
- 有料閲覧
- 文献概要
不正出血は,日常診療において非常に良く遭遇する重要な症状の一つであり,またその疾患も多岐にわたる。外来診療の少ない時間内で不正出血の診断をすることは,必ずしも容易でない。特に感染症による不圧出血の診断には,性器出血を十分理解したうえで機能性子宮出血,器質性出血ならびに産科的出血との鑑別診断が必要となる。感染症が原因となる不正出血は,必ずしも主訴でなく,他の随判症状として外来を訪れる場合が多い。この不正出血の原因となる感染症の感染経路は,STD-sexually transmitted diseasesによる上行性感染によるもので,今日性の解放傾向と相まって社会的に拡大する傾向にある。本稿では,感染症が原因で不正出血をきたす疾患の鑑別診断と,その中でも最も多くみられるクラミジアによる子宮頸管炎,細菌性子宮頸管炎ならびに特異な疾患として老人性腟炎について述べる。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.