増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック
Ⅱ. 婦人科編
❸術後合併症への対応法
術後の泌尿器合併症
黒崎 亮
1
1埼玉医科大学国際医療センター婦人科腫瘍科
キーワード:
尿管損傷
,
膀胱損傷
,
尿路感染症
Keyword:
尿管損傷
,
膀胱損傷
,
尿路感染症
pp.146-149
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211216
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
遭遇しやすい典型ケース
55歳,2妊2産.閉経52歳.3か月前から続く不正性器出血を主訴に受診した.精査により,子宮体癌ⅠA期(T1aN0M0)の診断で,腹腔鏡下子宮全摘術と両側付属器切除術を行う方針とした.手術を開始したところ,子宮頸管から膀胱を剝離する操作の際に,膀胱側からの出血が止まらず,バイポーラで焼灼止血を試みるも難渋した.出血の勢いはさらに増してきたため,さらに焼灼止血を継続し,何とか止血を得ることができ,子宮全摘術と両側付属器切除術を施行した.術後4日目,急激な腹痛のため,ナースコールがあった.訪室してみると,表情は苦悶状で腹部全体の疼痛を訴えている.尿量も減少しているようだった.造影CTを撮影したところ,骨盤内に液体が貯留しており,5分の造影後期相でダグラス窩に造影剤の漏出が確認された.尿管損傷を疑い,泌尿器科医師にコンサルトし,右尿管ステント留置を行ったところ,徐々に腹痛は軽快した.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.