今月の臨床 更年期症状への補完代替医療の最新知見―科学的根拠を踏まえて
総論
ホルモン補充療法の禁忌症例への対応方法
篠原 康一
1
1愛知医科大学産婦人科学講座
pp.557-560
発行日 2023年6月10日
Published Date 2023/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210996
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●日本人の乳がんの好発年齢は40〜50歳台であり,この治療のために,GnRHa・アロマターゼ阻害薬・性腺摘除などエストロゲンを低下させる治療を受けているケースが多い.
●現在,子宮体がんの新規患者数は子宮頸がんとほぼ同数まで増加しており,子宮摘出に加え,性腺摘除を受けることが多いため,必然的に低エストロゲン環境に曝される.
●血栓既往に関しても,頭痛症状から他院でMRIを行い,(血栓や梗塞巣が認められない症例に対し)「念のため血栓には注意しましょう」のような説明を受けている症例も多く経験するため,ひとくくりに“血栓既往”といっても詳細な問診が必要である.また,一過性脳虚血発作(TIA)を疑うような症状を有することもあり,“血栓既往患者”と判断すべきか悩む症例には詳細な問診が必要である.また,それに見合う内科疾患(高血圧・喫煙・糖尿病など)が併存しているか,も重要な問診項目である.
●本稿ではHRTガイドライン2017に準じつつ,実際の臨床に則した考えを述べる.
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