今月の臨床 産科救急―意識障害と危機的出血の初期対応
母体救急疾患
HELLP症候群,AFLP,TTP,aHUS―診断と治療
森川 守
1
1関西医科大学医学部産科学・婦人科学講座
pp.460-466
発行日 2023年5月10日
Published Date 2023/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210979
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●診断・治療が遅れると救命できない場合,あるいは重篤な後遺症を残す場合がある.対症療法が無効な場合には,速やかに妊娠終了(根本的な治療法)する.
●HELLP症候群はSibaiの診断基準を用いて診断し,治療としてミシシッピ・プロトコルを試みる.急性妊娠脂肪肝(AFLP)はSwansea criteriaを用いて,臨床的AFLPを診断する.
●血栓性血小板減少性紫斑病(血小板減少症,溶血性貧血,腎機能障害,発熱,動揺性精神神経症状の5徴)に対する治療の第一選択は血漿交換療法である.予防的な血小板輸注は「禁忌」と考えられている.
●非典型溶血性尿毒症症候群(溶血性貧血・血小板減少・急性腎障害の3徴)に対する現時点での有効な治療法には,血漿療法とヒト化抗C5モノクローナル抗体製剤であるエクリズマブ(保険適用外)による治療がある.
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