連載 FOCUS
子宮体がんにおける腹腔鏡下傍大動脈リンパ節郭清
寺井 義人
1
,
田中 智人
2
,
大道 正英
2
1神戸大学大学院医学研究科外科系講座産科婦人科学分野婦人科先端医療学部門
2大阪医科大学産婦人科
pp.1253-1257
発行日 2019年12月10日
Published Date 2019/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209879
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子宮体がんにおける傍大動脈リンパ節郭清の位置づけ
子宮体がんの手術において,傍大動脈リンパ節郭清術(生検)は骨盤リンパ節郭清術と同様に手術進行期決定に必要な手技である.子宮体がんにおけるリンパ節転移の頻度は,筋層浸潤の深さや組織分化度により変わり,Creasmanらの報告1)では,傍大動脈リンパ節転移頻度は,筋層浸潤1/3未満ではGrade 1で1%,Grade 2で4%,Grade 3で4%であったが,筋層浸潤2/3以上では,Grade 1で6%,Grade 2で14%,Grade 3で23%であった.このことから,筋層浸潤が深い症例や組織型がGrade 3や特殊型の場合には,リンパ節転移のリスクがあることを理解する必要がある.リンパ節転移は,重要な予後規定因子であり,リンパ節転移の有無により術後補助化学療法の施行が検討され,術後補助化学療法によりリンパ節転移例の生存率は改善される.
傍大動脈リンパ節郭清術の意義については,本邦からのSEPAL study2)が有名である.この試験は,子宮体がんにおいて,骨盤リンパ節郭清術のみを施行した群と骨盤・傍大動脈リンパ節郭清術の両方を施行した群の,生存期間に与える影響をみた後方視的コホート研究であるが,低リスク群では,傍大動脈リンパ節郭清術の有無によって無再発期間や生存期間に差はなかったものの,中・高リスク群では,傍大動脈リンパ節郭清を施行した群のほうが,有意に無再発期間や生存期間の延長をみた.以上の結果から,中・高リスク群の症例では,傍大動脈リンパ節郭清術の治療的意義があると結論付けられている.
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