連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール
腹腔鏡下手術時の虫垂損傷に気づかなかった1例
東 正樹
1
,
櫻井 愛美
1
1釧路赤十字病院産婦人科
pp.772-776
発行日 2017年8月10日
Published Date 2017/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209139
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症例
▶患者
47歳,既婚,0経妊.
▶既往歴・家族歴
特記事項なし.
▶現病歴
近医内科にて高度の貧血を指摘され,当科へ紹介受診となった.過多月経があり,血液検査で,RBC 279×104/μL,Hb 4.3g/dL,Ht 17.5%と著明な貧血を認めた.内診で,臍上方まで達する子宮を触知した.MRI検査では,10cm大と6cm大の子宮筋腫と子宮腺筋症および両側の小さいチョコレート囊胞を認めた(図1).CA19-9 42.7U/mL,CA125 174.5U/mLであった.薬物療法,手術療法の双方について説明したが,最終的に手術の希望があり,手術を選択した.当方としては,年齢から,また挙児希望もないことから子宮全摘術をすすめたが,子宮は温存したいとの強い意向があり,また腹腔鏡での手術を希望されたため,症状軽減目的で腹腔鏡下子宮筋腫核出術を行うこととなった.
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