連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール
卵巣腫瘍術後に骨盤内感染性リンパ囊胞が発生し間欠性跛行を呈した症例
皆川 幸久
1
,
上垣 憲雅
1
1鳥取県立中央病院産婦人科
pp.234-238
発行日 2016年3月10日
Published Date 2016/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208620
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症例
▶患者 : 36歳,1経妊.
▶主訴 : 間欠性跛行.
▶既往歴 : 特記事項なし.
▶現病歴
近医にて妊娠11週で右卵巣腫大とその増大傾向を指摘され,X年5月下旬に当院を紹介初診した.内診ではダグラス窩に嵌頓した新生児頭大で弾性硬の腫瘤を触知し,超音波断層法にて多房性で一部に乳頭状の充実部を有する囊胞性腫瘤を認めた.子宮内に妊娠11週相当の胎児を確認した.MRIでは,右卵巣に発生した径109×98mm大の多房性囊胞性腫瘤として描出され,一部に充実性部分が確認された(図1).有意な腹水貯留は認めなかった.また,子宮後壁に径47mm大の筋層内筋腫を認めた.腫瘍マーカーの検索では,CEA 45.4ng/mL,CA19-9 4,212U/mLと著明な上昇を示した.増大傾向が著しいとの前医からの情報があり,画像所見と腫瘍マーカーの上昇からも悪性腫瘍が否定できないため,1週間後(妊娠12週)に開腹手術を施行した.
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