生涯研修セミナー 子宮筋腫
診断
北尾 学
1
,
秦 利之
1
,
秦 幸吉
1
Manabu Kitao
1
1島根医科大学医学部産科婦人科学教室
pp.655-663
発行日 1988年7月10日
Published Date 1988/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207827
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子宮筋腫は産婦人科領域における日常診療の中で最も遭遇する機会の多い腫瘍であり,その発生頻度は35歳以上の女性の20%1)あるいは40%2)とも言われている。子宮筋腫の症候としては,出血,疼痛,圧迫症状,腫瘤感,帯下,貧血などがあげられるが3),無症状で経過することもしばしばである。その診断に関しては,上記にあげた臨床症状ならびに内診所見,さらには粘膜下筋腫にはhystero—salpingography所見を総合すれば比較的容易であるが,肥満,腹壁の手術瘢痕,癒着などにより,卵巣腫瘍など他の婦人科疾患との鑑別が困難となる場合も往々にして認められる。そこで,補助的診断法としての画像診断法を活用すれば,その診断能力は飛躍的に向上してくる。子宮筋腫の画像診断としてのfirst stepは超音波断層法であり,子宮の腫大の程度,筋腫結節の数と発生部位の診断,卵巣腫瘍などのほかの疾患との鑑別などに非常に有効である4)。子宮筋腫の診断においてCTはfirst choiceとなる検査法ではない5)。しかしながら,子宮筋腫はその発生部位や種々の二次的変化によって,超音波断層法でも多彩な所見を呈し,充実性卵巣腫瘍などとの鑑別が問題となる場合も少なくなく,そのような症例に対しては鑑別のためCT検査を行うべきである5)。本稿では子宮筋腫の診断のための超音波断層法およびCT検査を中心にして述べることにする。
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