明日への展開 ADVANCED TECHNOLOGY
I.診断・検査技術
尿中エストロゲンのHAIR法による測定
五十嵐 正雄
1
,
山田 清彦
1
,
宇井 万津男
1
Masao Igarashi
1
1群馬大学医学部産科婦人科学教室
pp.222-227
発行日 1984年4月10日
Published Date 1984/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206963
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非妊時の卵巣機能,妊娠中の胎児胎盤機能検査法としてエストロゲンの定量は極めて重要な臨床的意義を有する。したがってその定量法は以前からいろいろ研究されてきた。たとえば生物学的定量法,radioimmunoassay(RIA),immunoassay,enzyme immunoassay,螢光法,高速液体クロマトグラフィー法,免疫赤血球凝集反応など各種の定量法が研究されてきた。エストロゲンはプロゲステロンやテストステロンに比べその定量がむずかしい。というのは分泌量が他のホルモンに比べ微量だからである。
また血中と尿中を比較すると,採血可能な血液量には限度があるのに対し,尿はいくらでも収集出来る。また免疫赤血球凝集反応や凝集阻止反応(Haemoagglutina—tion Inhibition Reaction HAIR)は血液には利用出来ず,尿の時だけ使用可能である。以上の点で尿中エストロゲンの定量の方が血中のそれより優れているが,尿中エストロゲン定量にも問題はある。それは尿量の影響である。尿量には個人差があり,また同一個人でも飲水や食事の影響,夏と冬などの気温の影響,安静時と運動後などいろいろな因子の影響を受ける。それに対し血中のホルモン量は,それほど激しい日内変動や個人差を示さない。もし血中ホルモンに日内変動や個人差が認められれば,それは循環血液量の変動によるものではなく,ホルモンの分泌量の変動を示すものと解して大過はない。
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