産婦人科医療--明日への展開 周産期適応と性差
胎児発育と性差
門井 伸暁
1
,
仁志田 博司
2
Nobuaki Kadoi
1
,
Hiroshi Nishida
2
1竹田綜合病院新生児科
2北里大学医学部小児科学教室
pp.257-260
発行日 1983年4月10日
Published Date 1983/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206785
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両親からの性細胞の融合により生じた1個の受精卵は分裂,増殖,分化して胎齢40週前後には細胞数約15×1012個の胎児に発育することから,胎児発育は主として細胞数の増加によってもたらされると考えられる。胎児発育に影響を及ぼす因子は数多く知られており,これらの因子の相互作用によって胎児発育は影響をうけている。胎児の性もその因子のひとつであり,男児と女児の胎内発育曲線を比較すると男児の方が明らかに良好な発育を示すことより,胎児発育における性差は既知の事実として広く容認されている。
胎児発育における性差の原因は古くから性腺の関与が推測されていたが,現在ではその関与は否定されており,明らかな原因は解明されないままになっている。本稿においては,胎児発育に影響を及ぼす因子や胎児発育における性差を生ずる原因について検討するとともに,臨床上胎児発育曲線を使用する際に性差を無視しうるか--すなわち両性を含んだ胎児発育曲線を使用すべきか,あるいは男児別,女児別の胎児発育曲線を使用すべきか--について最近発表されたdataにもとづいて解説する。
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