臨床メモ
妊娠糖尿病とHemoglobin A1c.
佐藤 直樹
1
1峯クリニック
pp.878
発行日 1981年12月10日
Published Date 1981/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206531
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糖尿病妊婦では,妊娠中毒症を始めとする種々の合併症が発症しやすく,また,糖尿病母体から出生した児は,奇型,RDS,低血糖などの合併症が多く出現し,児の周産期死亡率の増加がみられるところからhigh risk妊娠として管理される。しかし大部分の患者は,妊娠してから糖尿病のcontrolをうける場合が多いが,合併症を低率にするためには妊娠前から糖尿病のcontrolをうけることの方が大切である。
最近,糖尿病患者の過去のcontrol状態を知る指標として,ヘモグロビンの中のGlycohemoglobinが測定されるようになった。赤血球ヘモグロビン中のGlycohemoglobin (Hb—A1c)は,正常人では全Hbの約5%を占めるが,糖尿病患者では,正常人に比べ2〜3倍増加し,しかも一度glycosylatinされたHbA1cは赤血球平均寿命の120日間飽和状態にあるので,HbA1c値は過去1〜2ケ月の血糖積分値と相関すると考えられている。すなわち,過去1〜2ケ月間,血糖値がどれだけcontrolされていたかを知る指標となる。
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