Modern Therapy 卵巣の手術
卵巣の手術—第3回産婦人科手術研究会から
下村 虎男
1,2
Torao Shimomura
1,2
1関西電力病院産婦人科
2第3回産婦人科手術研究会
pp.488-489
発行日 1981年7月10日
Published Date 1981/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206454
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卵巣は重要な生殖臓器の一つであるとともに,ホルモン産生の場としても欠くことができない臓器である。しかも卵巣には,少女期から老年期にかけ,あらゆる年齢層にわたって多種多様な腫瘍が発生する。腫瘍の存在は,産婦人科的双合診によって発見されるのではあるが,正確な診断決定は摘出した腫瘍の病理学的検査によらなければならない。しかも卵巣腫瘍には良性,良悪性境界(中間群),悪性の各種の腫瘍がみられ,こと悪性腫瘍においてはその予後はきわめて不良である。したがって他の悪性腫瘍の場合以上に早期診断,早期治療が必要と考えられる。
卵巣腫瘍の術前診断については,双合診にはじまり血液学的検査,赤沈,血液生化学的検査,CRP,超音波診断法,X線検査(子宮卵管造影法,IVPまたはDIP),内視鏡検査(腹腔鏡,クルドスコープ,直腸鏡,膀胱鏡など)などを駆使して医学的情報をまとめるとともに悪性腫瘍の疑いのある時にはさらに,CEA,AFPなどのtumor marker,性器内および腹水の細胞診,必要に応じてPAG,CT,各種ホルモン定量などが動員される。
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