Modern Therapy 症候群の取扱いをめぐって
身長発育の異常を伴う症候群
日比 逸郎
1
Ituro Hibi
1
1国立小児病院,内分泌代謝科
pp.343-351
発行日 1980年5月10日
Published Date 1980/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206240
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身長発育の異常を伴う症候群ということであるが,小児では身長発育の異常を伴わない症候群のほうがまれである。たとえばSmith1,2)が集録している161種類の先天性奇形症候群をみても,低身長を必発とするものが72種類,低身長を伴いうるものが18種類,高身長を伴うものが5種類で,計95種類の奇形症候群が身長発育の異常を伴っている。表1〜4にその概略を表示したが,これらの奇形症候群に伴う身長発育の異常は治療の方法がない。この中の多くのものが,広義の低出生体重小人症(Low-Birth-Weight Dwarf)のカテゴリーに属し,small for dateで出生するものが多い。しかしわれわれが日常遭遇する低出生体重小人症の大部分は,いくつかの非特徴的な小奇形を合併することはあっても,これらのどの症候群にも分類不能の非特微的な症例が大部分である。
内分泌異常も小児ではほとんど常に身長発育の異常を伴うといってよく,成長ホルモン過剰による下垂体性巨人症,その欠乏による下垂体性小人症はもちろん,Graves病・Addison病・性腺機能不全症では身長発育の促進傾向,性早熟症では身長発育の一過性促進と究極身長の低下,甲状腺機能低下症・尿崩症・クッシング症候群では身長発育の低下が認められる。
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