Modern Therapy 不妊治療
心身症の面からの考察
長田 宏
1
Hiroshi Osada
1
1川崎市立川崎病院心療産婦人科
pp.219-223
発行日 1980年3月10日
Published Date 1980/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206214
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
人類の先達たる古代人たちは「偉大な生命」を生みだす女性をどのように考えていたのであろうか。古代ギリシャの社会は一種の女系社会であり,新しい生命を誕生させる女性の生殖力,生産力を敬い,たたえる社会でもあったという。そこで不妊は女性の価値にまったく反するものとみなし離婚を強いられたともいう。
一方日本においても封建社会にあっては「家」が社会機構の基盤であり「不妊」は大きな問題であった。貝原益軒はその著「女大学」に「七去三従」の教えを述べているが,すなわち家にあっては父,夫,子に従い,また父母に順ならず,子なき,淫,妒,悪疾,多言,盗の七つをもって離婚の対象としたのであった。しかも不妊はすべて女性(妻)の責任となり,男性(夫)は不問に付されていた。
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.