疾患の病態と治療 進行癌への挑戦--延命効果の可能性
女児悪性腫瘍の管理
高嶋 達夫
1
Tatsuo Takashima
1
1国立小児病院婦人科
pp.69-77
発行日 1977年1月10日
Published Date 1977/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205553
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
女児の悪性腫瘍はきわめてまれである。すなわち1969〜1973年の4年間の小児悪性新生物全国登録(がんを守る会発表)によると5,666例の小児悪性腫瘍のうち,白血病が2,566例とその大部分を占め,第一位にあり,女児の性器の悪性腫瘍は未分化胚細胞腫,胎児性癌および悪性奇形腫等の卵巣の悪性腫瘍40例,その他は特に稀中の稀である子宮悪性腫瘍1例,腟悪性腫瘍5例,外陰部悪性腫瘍1例計47例で0.08%に過ぎない。欧米ではDar—gcon (1948)が小児の悪性腫瘍506例中わずかに2例が女性性器の腫瘍であったと報告しており,HardyとGoldbery (1956)は599例の小児の悪性腫瘍のうちわずか5例が乳房または性器の腫瘍であったと報告しており,最近ではSmith,RutledgeとSutow (1973)が1971年までの27年間に665例の14歳以下の小児癌を扱い,そのうち33例(5%)が小児婦人科の癌であったとTexas大学の統計を報告しており,きわめてまれであることを示している。
国立小児病院の女児の性器腫瘍に限って観察すれば11年間に26例のうち悪性腫瘍としては8例あり,そのうち卵巣に関しては中間群未分化胚細胞腫2例,悪性群に属する悪性卵巣奇形腫1例,胎児性横紋肉腫1例,腟と子宮と膀胱に関しては腟ブドウ肉腫2例,膀胱および尿道ブドウ肉腫1例,子宮頸部腺癌1例であり,悪性腫瘍は30.8%に当る。
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.