臨床メモ
黄体ホルモン剤の催奇形作用
竹内 久彌
1
1順天堂大学産婦人科
pp.816
発行日 1975年11月10日
Published Date 1975/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205249
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われわれ産科医は10数年前の経口黄体ホルモン剤による女児の男性化作用の例についての記憶を失つていない。最近再び黄体ホルモンの副作用に関する関心が高まつているようなのでこれに関連した報告を紹介してみたい。
Janerichら(New England J.Med.291,697,1974)は四肢形成不全児に着目して,その108例と正常対照108例について,黄体ホルモン使用による妊娠テスト(消退出血を期待した),妊娠維持療法,経口避妊薬の継続(妊娠したことを知らないで)の有無を調査した。その結果,患児の3例と対照児の1例に妊娠テストが行なわれ,患児の6例と対照児の1例に妊娠維持療法が行なわれていた。経口避妊薬服用については患児の6例と対照児の1例が服用法のミスがないにもかかわらず妊娠し,それと知らずに服用を続けていた。また,対照児の1例は妊娠成立後にピルを服用開始していた。結局,四肢形成不全症108例中15例に妊娠後に黄体ホルモンが投与されており,これに対し,正常対照108例中の黄体ホルモン投与は4例に過ぎない。また,ピル服用中止後妊娠との関係では,中止後1ヵ月以内の妊娠が患児に6例,対照児に2例であつたという。
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