総合講座 産婦人科と呼吸
麻酔科からみた産婦人科領域の呼吸管理
岩井 誠三
1
,
保科 春美
1
Seizo Iwai
1
,
Harumi Hoshina
1
1神戸大学医学部麻酔学教室
pp.427-432
発行日 1974年6月10日
Published Date 1974/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205047
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年齢をとわず生命維持にもつとも重要な機能の1つである呼吸が,何かの原因によつて障害された場合,その程度と個体の有する予備力の多寡によつて時間的な差はあるが,できるだけ速かに適切な呼吸管理法を実施しなければ致命的結果を招来し得ることは衆知のことである。
術前・術後の管理・麻酔方法・輸液・輸血などの進歩した現在では手術適応が年齢的にも疾患の重症度の上からもきわめて拡大されてきており,術前・術中・術後における呼吸管理法はきわめて重要な問題となつてきている。以前は手術野が下腹部に限局しているために産婦人科領域における呼吸管理は比較的に軽視されてきたが,肥満,高齢者あるいは術前に呼吸系合併症を有する症例の増加,麻酔法の普及などから産婦人科領域においてもきわめて重要な問題となつてきている。とくに産科領域において無痛分娩法の普及は母体と胎児の両面を同時に考慮しなければならない特殊性があり,さらに出生後の新生児呼吸管理もまた近年とくに注目されてきている。
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