特集 胎児死亡
感染症と胎児死亡
張 南薫
1
,
蔵方 宏昌
1
,
佐藤 勲
1
,
千坂 正毅
1
Nankun Cho
1
1昭和大学医学部産婦人科学教室
pp.47-52
発行日 1974年1月10日
Published Date 1974/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204984
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妊娠中の胎児死亡,あるいは流早産の原因として感染症が関与するのは次のような場合があげられる。各種の急性熱性伝染病,敗血症,腎盂炎などの急性細菌感染症,結核,梅毒などの慢性感染症,風疹,麻疹,インフルエンザ,痘瘡,巨細胞封入体症,流行性耳下腺炎,水痘,単純疱疹などのウイルス感染症,トキソプラズマ症のごとき原虫感染症,リステリア症,ビブリオ症などの人獣感染症である。
このうち,急性熱性伝染病や敗血症のごときものは感染の結果,母体に重篤な侵襲が加えられ,これが母体の全身状態を悪化させるので,その結果として胎児に栄養障害や胎盤機能不全が起こり胎児死亡に至るもので,胎児に直接感染が起こることはむしろ少い。
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