研究
妊娠と超音波断層法—特に月数に比して異常に大きい妊娠子宮について
関場 香
1
,
小林 純郎
1
,
宇埜 昭
1
Kaoru Sekiba
1
1岡山大学医学部産婦人科学教室
pp.1065-1069
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204972
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妊婦の診察に際し,非妊娠時の状態を全く知らずに,妊娠初期を始めて診察する機会は多い。その妊娠子宮の大きさが最終月経から計算して妊娠月数に一致すれば問題はないが,一致しない場合,特に異常に大きい時は,いろいろの疾患を想定して鑑別しなければならない。しかし,その鑑別は必ずしも容易ではなく,妊娠初期という特殊事情,流産を起こしやすく,無分別な処置により奇形の発生が恐れられる時期の妊婦に対し,これらを避けながら鑑別することは不可能なことも稀ではない。このような症例に対し,妊婦や家族の希望,児の数などを参考にしながら,次の3つのうちいずれかがとられてきた。すなわち異常妊娠として妊娠中絶を行ない,妊娠そのものが異常であつたか否かをみると同時に,非妊娠時の状態で子宮ならびに附属器の異常の有無を検討し,改めて妊娠を待つか,中絶を行なわずにそのまま経過を観察するか,胞状奇胎が疑われるものには尿中ゴナドトロピンの定量とドップラー法による児心音の聴取を繰返し行なうなどである。
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