特集 腫瘍と免疫
ハプテン・キャリヤー蛋白の免疫動物における遅延型反応の特異性
木村 義民
1
,
横室 公三
1
,
馬渕 綾子
1
Yoshitami Kimura
1
1日本医科大学微生物学免疫学教室
pp.1044-1046
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204969
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腫瘍を持つた個体の免疫応答は,細胞性抗体あるいは液性抗体をとわず,健常な個体と時に著しく異なつた免疫応答を示すことから,担癌生体の免疫応答に関する研究は少なくない。液性抗体産生については,ヒツジ赤血球や血清アルブミンのような胸腺依存性の高い抗原は胸腺由来の細胞(T—細胞)と骨髄由来の細胞(B—細胞)の協同作用が必要であり,サルモネラの鞭毛抗原やポリビニルピロリドンのように胸腺依存性の低い抗原はB—細胞のみで充分抗体産生が可能なことが知られている。ハプテンにキャリヤー蛋白を結合せしめたハプテン・キャリヤー抗原ではキャリヤー蛋白上のある部分はT—細胞(ヘルパー細胞),ハプテン部分はB—細胞に働くことによつて抗ハプテン抗体が産生される。ツベルクリン反応や移植免疫の主役をなす遅延型反応は細胞性抗体によるものであり,その機能を担当するものはT—細胞によるとされている。
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