特集 痛みの本態と治療
腰痛
山口 義臣
1
Yoshiomi Yamaguchi
1
1東邦大学整形外科学教室
pp.125-131
発行日 1973年2月10日
Published Date 1973/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204779
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腰痛はその大部分のものがなんらかのかたちで椎間板の変性に関係がある。この10数年間の椎間板に関する基礎的,臨床的知見によつて軟骨瘤の有無にかかわらず,臨床的に腰痛があり,椎間板に変性が見られるものを椎間板症と呼ばれる病態に包括する傾向がある。これはミエログラフィーを用いた時代には椎間板の椎管内膨隆の有無によつて診断の根拠としていたが,ディスコグラフィーの採用によつて椎間板の描写が容易となり(図1),その変性の程度が比較的容易に把握できるために,腫瘤の存在のいかんにかかわらずその変性像をつかむことが可能になつたためである。
腰痛をおこす主因は椎間板の変性によるものが多いことはたしかであるが,その変性は椎間板に加えられる外的なストレスを無視するわけにはいかない。現代では人類が歩く生活から坐る生活へ変りつつあり,この生活様式の変化が腰痛の発生に大きく影響していることは否めないであろう。
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