特集 子宮の手術--最近の焦点
アルドリッジ手術のコツ
中村 恒寿
1
Tsunehisa Nakamura
1
1佐世保市中村産婦人科医院
pp.939-948
発行日 1971年9月10日
Published Date 1971/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204488
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
婦人科開腹手術において,特に子宮頸癌根治手術,単純性子宮全剔出術,広靱帯内腫瘍剔出術および炎症性疾患の手術などの際,その解剖学的関係より,膀胱,尿路,直腸およびS字状結腸に対する損傷はしばしば見受けられ,それはきわめて重大なる影響を患者に与えるものである。上記術式の内でも単純性子宮全剔出術はきわめて普偏化された術式であり,かつ開業医においても広く施行されているが,現在においてもなおかつ術中,術後障害,特に尿路損傷が皆無でないことは誠に残念であると思われる。それゆえ子宮腟上部切断術に逃避する術者が多くみかけられるのは実に遺憾なことである。
腹式子宮全剔出術を大別すれば,筋膜外術式と筋膜内術式とに分類される。本邦においては前者がいわゆる常用法と呼ばれる程,広く一般に行なわれている。これに反し後者は最近までその存在すらもほとんど知られず,昭和41年第18回日本産科婦人科学会総会の際,"腹式単純子宮剔除術—とくに尿路損傷回避に重点をおいて—"という演題の下にシンポジウムが行なわれた際、小生らより峡部内術式の紹介が行なおれたにもかかわらず,本術式を常用法として採用している術者は誠に僅少である。
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.