特集 人工妊娠中絶術
中期中絶の"こつ"と問題点
斉藤 幹
1
,
早田 貫一
2
,
北井 徳蔵
3
Kan Saito
1
,
Kanichi Soda
2
,
Tokuzo Kitai
3
1東京医科歯科大学産婦人科
2東京都荒川区早田病院
3東京都中央区北井病院
pp.537-542
発行日 1971年6月10日
Published Date 1971/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204423
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はじめに
中期妊娠の人工中絶について文献的には多くの方法が列記されているが,各人にそれぞれ好んで川いる術式があることと推察される。それは単独の方法であるかもしれないし,また2〜3方法の併用である場合もあろう。自分の用いている方法がもつとも有効であると考えている人がある反面,必ずしもそう思つていない人もあろう。安全で,確実に奏効し,しかも日数が多くかからないという条件が,特定の方法に常に備わつているとは限らない。この点に,自己の用いている術式に満足するか,しないかの別れ目があるように思われる。
中期中絶の要点は簡単明瞭である。すなわち,頸管を十分に拡張して胎児の娩出を容易にすること,有効な子宮収縮を誘発させることにつきる。しかし妊娠中期子宮はこのような状態を容易には作りだしてくれない点にまず問題がある。これをうまくこなす方法が望まれるわけである。次には入院期間の問題がある。時間を十分にかけられる場合はよいが,多くの患者はなるべく入院の短いことを希望してくる。このことは医師に処置を急がせ,ひいてはトラブル発生につながる潜在要因となる。第3に,そしてもつとも重大なこととして,中期中絶による事故がまれでないことがあげられる。
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