今日の問題点 薬物と副作用
剖検例からみた薬物の副作用—とくにブレオマイシンについて
金子 仁
1,2
Masashi Kaneko
1,2
1国立東京第一病院病理
2日本医科大学老研基礎部
pp.449-456
発行日 1971年5月10日
Published Date 1971/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204408
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はじめに
婦人科領域の薬物といえば感染症,悪性腫瘍,妊娠中毒などに対するもので,その種類も枚挙にいとまない程多い。剖検例から,病理医の眼で薬物を見るとすれば,死に直結する恐るべき副作用を論じねばならない。
初めブレオマイシン(ブレオ),カナマイシン,副腎皮質ホルモンについて論ずるつもりであつたが後の二つについては木下1),児玉2),らの文献もあり,経験の少ない著者の書くべきことでない。ただ,最近子宮癌,外陰癌に対して使用されつつあるブレオに関しては国立東一に勤務する医師として書かねばならぬ義務もあり,更に紙面の都合もあつて,これだけに絞つて記載することにする。最初にブレオの概略と効果につき簡単に述べ,次いで副作用とその防止につき詳述する。なお,ブレオの動物実験に関しては,現在,日本医科大学老人病研究所基礎部と日本化薬研究所で続行中である。
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