薬の臨床
Nitrimidazine経口投与による腟トリコモナス感染症の治験
湯浅 充雄
1
Mitsuo Yuasa
1
1姫路赤十字病院産婦人科
pp.381-383
発行日 1971年4月10日
Published Date 1971/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204399
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はじめに
外来において外陰部掻痒感,帯下感を訴えて来診する患者は約10%にみられ,これらのうち腟トリコモナス感染によるものが約30%をしめる。腟トリコモナス感染症に抗トリコモナス剤を投与すれば,一次的には腟トリコモナスの消失はみられるが再発する場合が多い。尿路系,子宮頚管,バルトリン腺,スケネ腺などに潜在する腟トリコモナス,あるいは配偶者の尿,性器に潜在するトリコモナスによるものである。Nitrimidazine(1-(N-β-ethyl-morpholine)−5-nitro-imidazole)はCalro Erba研究所で開発された抗原虫剤で,経口投与により血中,尿中濃度が高く持続され,尿路系や子宮頚管,バルトリン腺,スケネ腺へ侵入した腟トリコモナスによる抗療性の腟トリコモナス感染症にも有効とされている。NitrimidazineのMICは0.63〜2.5mg/mlで,すでに市販のMetronidazole(Flagyl)に匹敵し,経口投与による副作用もほとんどないという。今回,Nltri-midazine経口投与により腟トリコモナス感染症49例にっいて,市販のMetronidazole(Flagyl)と比較治験し,一次効果95.9%,再発1ヵ月,2.1%,2カ月,6.4%,3カ月,6.4%のすぐれた効果をみとめたので以下報告する。
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