連載 MY THERAPY in series・5
腟トリコモナス症の治療
武田 正美
1
1岩手県立中央病院
pp.933
発行日 1962年12月10日
Published Date 1962/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202720
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"腟トリコモナス症は難治性婦人科疾患の一つである"という言葉は特効的に本症に作用するという薬剤が多数つくり出されている現在でも,いまだに本症に関する論文の巻頭を飾る言葉である。既存の抗トリコモナス剤はほとんど膣錠の型で投与され,難治の最大原因と思われる腟以外の棲息部(子宮頚管,膀胱,外陰,分泌腺,糜爛組織内,配偶者性器など)に対してはほとんど未治療の状態であり,従つてこのような局所療法の効果判定では,いかに特効的作用を誇る薬剤といえども結果においては優劣の差はあつても大同小異で再発率は極めてたかい。このように決定的な薬剤が登場しないまま,その治療方法に種々工夫をこらし,あるいは長期投与,月経時投与方法などで難治性本症の治療を行なう以外になすべき手がなく,多くは手をこまぬいている無力な状態であつた。
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