臨床メモ
カットダウンと血栓症
竹内 久弥
1
1順天堂大学産婦人科
pp.985
発行日 1970年11月10日
Published Date 1970/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204299
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新生児への輸液や輸血のために臍動静脈ないしは下肢の大伏在静脈にポリエチレンチューブを挿入,留置することは約10年前から行なわれ始め,今日ではかなり頻繁に実施されていると思われる。この手技によつて救命し得た児も数多いであろうが,一方その副作用についてはあまり知られていないように見える。
成人にカットダウンを行なつた際の合併症に関する報告が最近増えており,たとえばBolasnyら(Surg.,Gynec.&Obst.,130:342,1970)によれば細菌感染がかなりの頻度で見られ,それも局所の血栓性静脈炎から敗血症に至る広い範囲のものであり,これの出現がチューブの留置期間に密接な関係を持つており,従つてantisepticな管理が大切であると言う。しかし,カットダウンが死と結びつくような重大な合併症の原因となつた例はみられない。
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