特集 分娩時出血--メカニズムとその対策
分娩時出血の病態生理
品川 信良
1
Shinryo Shinagawa
1
1弘前大学医学部産科婦人科学教室
pp.737-740
発行日 1969年9月10日
Published Date 1969/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204087
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
わが国における妊産婦の主要死因は,いまなお,妊娠中毒症と出血とである。このこと一つをとりあげてみても,分娩時の大量出血の防止や,止血および輸血対策が,産科における最重要課題の一つであることは疑いないところのはずである。にもかかわらず,長い間,産科出血の問題が,無視にも近い状態に放置されてきたのはなぜであろうか。その理由として,さしあたり私は次の2点をあげておきたい。
1)出血とか止血とかいうことに対する深い思慮や医学的考察が,私たち産婦人科医には長い間欠けていた。すなわち,裂傷とか収縮不全というような既存の病因や古典的な考え方に,私たちは縛られすぎていた。
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.