今月の臨床 着床--今日の焦点
Preimplantation—とくに卵の初期発生の動態に関する実験的研究
野嶽 幸雄
1
,
飯塚 理八
1
,
鈴木 秋悦
1
Yukio Notake
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科学教室
pp.865-878
発行日 1968年10月10日
Published Date 1968/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203946
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I.はじめに
排卵から受精,更に,卵管内における受精卵の分割,移動から着床に至る初期発生の過程は,近年,特に研究対象として注目され,多数の優れた業績が,相次いで報告されてきている。着床の問題は,Böving,Shelesnyak等の先駆的な研究により,次第にその機序が解明されてきているが,わが国においては,生殖に関する他の領域での研究に比較して,多分におくれている感が深い。
着床についての研究を進めていく場合,Preim-plantation,Implantation,更に,Postimplantationの初期臓器発生から流産等の原因に至るまでの問題を,一連の連続した現象として,これを理解していく必要があるが,Preimplantationの開始とは,結局,卵巣内における卵子形成に始まり,受精から受精卵の分割過程まで,全てこれに関係してくるものであり,着床の研究とは,卵子形成に関する研究に始まるといえる。もちろん,着床そのものの機序の解明も重要であり,着床時の子宮内膜の受精卵に対する受容性(AcceptabilityあるいはReceptivity)を中心とした問題も興味深い。
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