My Technique in series・7
バルトリン嚢胞の手術(下)—造袋術
石原 力
1,2
1中央鉄道病院産婦人科
2東京大学医学部産婦人科
pp.588-589
発行日 1967年7月10日
Published Date 1967/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203734
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1.造袋術とは
造袋術(marsupialization,Marsupialisation)とは,以前卵巣嚢腫の手術などに姑息手術として行なわれた術式で,嚢腫が摘出できないようなとき,嚢腫壁を一部開口してそれを腹壁切開創と縫い合わせ,内容液の排出と,貯留防止とをはかつたもので,ちようど切開創を口とした嚢腫壁の袋(ラテン語marsupium)を造つたような状態になるのでこの名前がある。
バルトリン嚢胞手術にこの造袋術をはじめて応用し,同時にこの名前を用いたのはアメリカのJacobson (1950)であるが,その後造袋術は英,米,独等で追試され,本邦でも橋本教授,石原,馬島教授らの報告,記載がある。なおLowrieはこれに外反術(exteriorization)という語を用いている.この造袋術と似た嚢胞手術を1878年Carl Schröderが記載しているが,Jacobson自身はこの文献にまつたく触れていない。
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