Japanese
English
特集 産科合併症・1
耳鼻科疾患と妊娠
Otorhinolaryngological diseases and pregnancy
白岩 俊雄
1
Toshio Shiroiwa
1
1東京医科大学耳鼻科
pp.423-426
発行日 1966年6月10日
Published Date 1966/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203488
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はじめに
妊婦の健康管理の問題が広く注目されてきたので,妊娠に伴なつて起こる耳鼻科の合併症について書くようにという注文がきた。たしかに産科と耳鼻科は一見何の関係もなさそうにみえるが,ちよつと考えこんでみるとこの両科の間にはなかなか切つても切れない関係があることに気づくはずである。耳鼻咽喉科疾患は産科と同じく粘膜疾患である。生理的にも鼻・咽・喉粘膜と婦人科粘膜は共に感覚器である。その上鼻粘膜と性的現象の密接な関連は,一般の人にまで広く知られている。一方が変動すれば他方はすぐその影響を受ける。粘膜からの出血の病態生理なども,鼻粘膜と性器の粘膜とは面白いほどよく似ている。
このような事実から耳鼻科では古くから性的現象と鼻粘膜の関係が研究されている。1926年にはW. Fliessが鼻粘膜と性器の関係について,60頁に及ぶ論文を出している。日本でも昭和13年第42回耳鼻咽喉科学会総会で,この問題が宿題として松田教授(金大)によつて報告されたし,その後も市原助教授(昭大)などの詳細な報告が出ている。第1表はこれらの研究の抜萃である。いずれも耳鼻科医が経験した報告である。
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