私の座右書
心のこもつた洋書
奥山 通雄
1
1大阪鉄道病院
pp.373
発行日 1966年5月10日
Published Date 1966/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203479
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友情に国境はないというような言葉はしばしば聞かされてきた言葉である。そしてそれがほんとうの友情であればそれはまたとえがたい貴重なものだと思う。
終戦後間もなく一アメリカ人と意気投合し,その後ずーつと親しく交際を続けてきたが,月日のたつのは早いもので,指おりかぞえてもう20年にもなる。今では彼は私にとつて極めて貴重な親友の一人であり,終戦後の苦しかつたときから今日まで,彼の変らぬ温かい友情をしみじみと感じさせられてきた。その友より1945年に送られてきた本が,"Pri—nciples and Practice of Obstetri—cs"(DeLee-Greenhill)であつて,私にとつてもつとも大切なまた好きな本の一つである。医学書であるが故にその後17年間というものは実用に,また常に心の友としていつも私の身近かにおいている。座右の書といえるかどうかは別として,私の大事にしている本の唯一のものである。
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