Japanese
English
症例
妊娠中に確診した無脳児の1例
A case of anencephalus diagnosed during pregnancy
村上 欽也
1
Kinya Murakami
1
1九大温研産婦人科
pp.143-146
発行日 1965年2月10日
Published Date 1965/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203223
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はじめに
新生児奇形のうち無脳児は比較的多く,兎唇,口蓋破裂についで頻度の高いもので,本邦においても多数の報告がある。また最近は定期的妊婦検診の普及,入院分娩の増加とともに妊娠中に診断され,人工妊娠中絶術を行なつた報告例が増加している。頭蓋上部と脳実質の一部,または全部が欠損し,頭蓋の基底面が露出して,脳質が半分残つているものが半脳症(Hemiencephalia),全部欠損しているものが無脳症(Anencephalia)であるが,一般にはこの両者を併せて半頭児,または無脳児と呼んでいる。その顔貌は特異的で,顔面がよく発育し,眼球や,舌が大きく突出し,頚部過短で,躯幹ことに肩胛部の発育が良好なことを特徴とし,一見頚部は両肩胛間に没入しているように見える。著者は最近,妊娠9カ月で他院において胎児の奇形を疑われて当科を訪れ,内外診で児頭部触知困難のため,レ撮影を行ない,ことに正確を期して前後および側方から行なった結果,無脳児と確診することができ,人工早産術を行なつた1例を経験したので報告する。
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