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薬剤 貧血
妊娠末期鉄欠乏性貧血4例に使用した静注用デキストラン鉄の効果
Effects of "Dextran iron" for intravenous injection on iron deficiency anemia in late pregnancy in 4 cases
松井 武彦
1
Takehiko Matsui
1
1長崎大学医学部産科婦人科学教室
pp.315-317
発行日 1964年4月10日
Published Date 1964/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203028
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緒言
鉄欠乏性貧血の治療に用いる内服用鉄剤は近年種々の改良が加えられ,より優秀な薬剤への研究が行われている。これらの改良内服鉄剤は副作用が少いとはいえその胃腸障害は皆無とはいえぬ。さらに経口投与によつては完全に貯蔵鉄を充足し得ず,そのため再発を繰り返すことがある。日常の診療に際して,鉄不足の補給の必要性を認めながら,これを経口的に投与しえないことがある。ことに妊娠末期の貧血の如く急速な鉄補給を必要とする場合がある。このような症例に対しては,注射剤の形で用い得る鉄剤が最適のように思う。従来は鉄剤を非経口的に投与することに対し,過量投与のおそれ,副作用の危険などの理由により敬遠される傾向にあつたが,薬剤の安定化と使用法の安全化により,その利点はとみに増した。私は最近デキストラン鉄(フェロバルト)を妊娠末期の重症貧血4例に使用し著効を得たのでここに報告する。
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