Proposal
新生児,乳児の研究に関連して乳児科新設を
佐久間 浩
1
1賛育会東海病院
pp.616-617
発行日 1963年8月10日
Published Date 1963/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202860
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われわれ産婦人科医は九嶋教授のいわれるように,新生児に訴える能力がなく,その両親も新生児の生命に対して幼児と異なつた考えをもつているので「小さ過ぎるから,いつ急変するか分らない」と責任のがれのようなことをいつていたし,確かに一般に,われわれも助産婦諸君も,女性が妊娠中大したことなく経過し,分娩も特別な異常もなくすめば,たとえ新生児が仮死で生まれても,それで満足しているのではあるまいか。しかし未熟児の保育がやかましくいわれるようになり,各所に未熟児の保育施設が設けられ,未熟児に関するいろいろの研究が盛んになり,それにつれて新生児の研究も行なわれるようになつたのは誠に喜こばしい。優生保護法の制定以来,家族計画という考え方も一般に浸透してきた昨今,この世に生を享けた人間は出生の瞬間から一生幸せに過すことを保証される権利があろう。つまり小さ過ぎるからとか,いずれまたできるからという安易な気持はわれわれにも助産婦諸君にも許されなくなつた訳である。いいかえればわれわれも助産婦諸君も新生児に対して今までと異なつた重大な関心をもたなければならなくなつてきた訳である。伴氏も「赤ちやんを中心とした産科学」をしきりに主張している。
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