今月の主題 内科医のための他科疾患プライマリ・ケア
産婦人科
腟炎—トリコモナス,カンジダ
武田 秀雄
1
1東京逓信病院・産婦人科
pp.844-845
発行日 1989年5月10日
Published Date 1989/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222469
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●概説
腟炎は女性に特有な疾患であり,少女期から高齢婦人までのあらゆる年齢層の女性に起こる腟腔内の炎症であるが,トリコモナス(原虫),カンジダ(真菌)による腟炎は比較的成熟期の婦人に多くみられる.これらはいわゆる性病ではないが,性交によって人から人へ感染するため,その機会が多い成熟期婦人に頻度が高いのであろう.また入浴とか下着を介しても感染しうるため,母親から女児への感染の可能性もあることを銘記しておきたい.
腟腔は元来腟粘膜の上皮細胞がグリコーゲンを多く含有し,常在菌であるデーデルライン桿菌がこれを分解して乳酸を産生するために常に酸性を保ち,外部からの細菌の侵入を防御しているが,身体の防御機構が著しく低下したり,抗生物質の投与によって腟内常在菌が抑制されると,菌交代現象として真菌(カンジダ)の発生をみることがある.
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