Japanese
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産科 脳波
妊産褥婦における脳波検査の臨床的価値
Clinical value of EEG on the pregnant, parturient and puerpera
室岡 一
1
Hajime Murooka
1
1日本医科大学医学部産婦人科学教室
pp.419-426
発行日 1962年6月10日
Published Date 1962/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202633
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1.緒言
最近のエレクトロニックスの進歩は誠に素晴らしく,工業方面への利用は驚くばかりであるが,医学関係は生体が複雑なためか未だしの感がある。電子工学の長所は測定が正確で信頼できることにあるが,医学領域ではこの面でも充分検討を重ねないと危険である。たとえば皮膚抵抗などその例であるが,診断として用いられるためには引続いて再検査しても同一結果が得られるものでなければならない。心電図,脳波はこの点充分信頼するに足り,このため心電図の如きは著しい進歩をとげている。現今では各病院において臨床検査部門になくてはならない存在となつているが,反面脳波装置の方は余程の大病院でないと具備していない。これは一つには購入値段が尨大で入手し難いためである。しかしその価格も往時に比べればかなり低下し,脳波装置も漸次普及されるようになつた。ここに現われたもう一つの難点は脳波判読のおずらしさであつて,長い不規則な波形の連続をどう取扱つてよいかという困難さに直面するのである。多くの場合脳波学者にその判読を依頼するのであるが,その結果は波形の分析であるから,痙攣,昏睡でも伴わない限り明かな異常性は認められず,大抵は異常とも正常ともつかない曖昧な回答(境界脳波)をうるのみである。このことは脳波を一層とりつき難いものとしてその価値を低下せしめた。
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