同人放談
癌患者の治療は国費で
三谷 靖
1
1長崎大学
pp.475-476
発行日 1961年5月10日
Published Date 1961/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202434
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日本では年間約9万人が癌で死亡している。昭和33年に就いて見ると1年間にガンに因る死亡は87,355人,6分間に1人の割で死んでいる。この他,治療によつて治癒する人もあるから罹患者は10万人に達すると考えて好かろう。臓器別に見ると本邦では胃癌と子宮癌が多いことは各位の御承知の通りである。如何なる疾患でも早期診断,早期治療が大切であることは勿論であるが,ガンではそれの成否が生死の別れ目となる。子宮癌は癌の内では癒り易い病気であるが,それでも現状では来訪した全患者の約半数が永久治癒するに過ぎない。
その理由は云うまでもなく,受診が遅れているためである。私共の教室でも国際分類のⅠ,Ⅱ期までに来院するのは約半数に過ぎない。病院の性格によつて多少の差はあるが,多くの病院では殆んど似たような実情であろう。
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