Japanese
English
臨床研究
悪性腫瘍(子宮癌)治療における白血球減少症の対策—特にアデニン剤(ロイコン)を中心として
Countermeasures on leukopenia in the treatment of malignant tumor (uterinecarcinoma), with special reference to the effect of adenine agent (Leukon)
清水 直太郎
1
,
吉川 暉
1
,
丸山 隆義
1
,
村上 欽也
1
,
井上 通泰
1
,
阿部 尚子
1
Naotaro Shimizu
1
1九州大学温研産婦人科
pp.7-12
発行日 1961年1月10日
Published Date 1961/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202345
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
悪性腫瘍の放射線治療,或は化学療法を行うに際して,治療を充分に行おうとすればする程,それに伴う副作用が著しくなり,治療の続行を不能にするし効果も減退するから,副作用を抑制軽減することは実地上重要な問題である。最近は照射法の改良,強力な制癌剤の登揚によつて,ある程度副作用は軽減されたが,なお一層強力な治療を行うためには,更に有効な副作用抑制対策が望まれる。
いわゆる副作用としては,食思不振,悪心,嘔吐等の主として消化器系障害と,白血球減少,貧血,出血性素因等の造血臓器障害とがある。後者は前者に比して難治であり,そのために治療の中断を余儀なくされる事や,時に思わぬ急激な白血球減少がおこり,従来のあらゆる治療も効なく死の転帰をとる症例がある事は,従来諸家によつて報告されているし,われわれも経験している。しかし消化器系の副作用にクロールプロマジン,ペルフェナジン,副腎皮質ホルモン(以下皮質ホと略記)が有効であることは赤田,小山氏等と同じくわれわれも認め,既に報告したところであり,今日消化器系副作用の為に治療を中断する事は極めて稀になつた。反之,造血臓器障害には今日なお万全な対策が得られていない。
Copyright © 1961, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.